派遣の有給休暇
2026/10/26
「派遣だと、有給休暇は取りにくいのでは」。
正社員の施工管理として働いてきた方ほど、こうした不安を持ちやすいようです。
工期に追われる現場で、自分だけ休むのは気が引ける。そもそも派遣の場合、有給休暇は誰に申請すればよいのか分からない。
この記事では、そうした疑問を制度の仕組みと現場の実情の両方から整理します。
結論:派遣でも有給休暇は法律どおりに付与されます
派遣で働く場合も、条件を満たせば、正社員と同じく労働基準法にもとづく年次有給休暇が付与されます。
付与するのは、雇用主である派遣会社です。現場の事情はありますが、申請先と仕組みを知っておけば、取得の計画は立てやすくなります。
派遣の有給休暇は誰が与えるのか
派遣で働く人の雇用主は派遣会社(派遣元)です。日々の仕事の指示は派遣先の現場から受けますが、雇用契約を結んでいるのは派遣会社です。
そのため、有給休暇を与える義務を負うのは派遣会社です。休んだ日の賃金を支払うのも派遣会社になります。
実際の申請も、まず派遣会社の担当者に伝えるのが基本です。現場の上長にも予定を共有しておくと、工程の調整がしやすくなります。
どちらに、いつまでに、どの方法で伝えるのかは会社ごとに決まっているので、就業前に確認しておきましょう。
何日もらえる?付与の条件と日数
年次有給休暇が付与される条件は、次の2つです。
- 雇入れの日から6か月継続して勤務
- 全労働日の8割以上を出勤
1. 最初は10日、勤続に応じて増える
フルタイムで働く場合、条件を満たすと最初に10日が付与されます。
その後は勤続年数に応じて日数が増え、6年6か月以上で年20日が上限となります。
なお、当社では、入社時に3日の有給休暇を付与しています。長期連休や突発の休みにも、入社後すぐに対応できるようにするためです。
2. 有期契約の更新を重ねても対象になる
派遣では、数か月単位の契約を更新しながら働くことがよくあります。
厚生労働省の資料では、有期の契約を繰り返し更新している場合でも、雇入れの日から6か月継続勤務し、8割以上出勤していれば付与が必要とされています。契約が短いから対象外、ということにはなりません。
3. 勤務日数が少ない場合は比例付与
週の所定労働時間が30時間未満で、週4日以下などの働き方の場合は、勤務日数に応じた日数が付与されます(比例付与)。
施工管理はフルタイムが多いですが、短日数の契約を考えている方は確認しておきましょう。
4. 使わなかった分は翌年度まで繰り越せる
有給休暇を請求できる権利の時効は2年です。
その年に使い切れなかった分は、翌年度に繰り越して使えます。
取り方の単位と、取得するときのルール
正社員時代と同じ感覚で使えるのか、細かい点も確認しておきましょう。
1. 休む理由を詳しく伝える必要はない
有給休暇は、原則として何に使うかを問われないものです。
申請の際は「私用のため」で問題ありません。家族の行事や通院、資格試験の勉強など、自分の予定に合わせて使えます。
2. 半日・時間単位は会社の制度しだい
有給休暇は1日単位が基本です。半日単位で取れるかどうかは、会社の制度によって変わります。
時間単位での取得は、労使協定を結んだ会社で、年5日分までの範囲で認められる仕組みです。朝だけ役所に行きたいといった使い方をしたい方は、派遣会社の制度を確認しておきましょう。
3. 取得を理由に不利益な扱いをしてはならない
労働基準法では、有給休暇を取ったことを理由に、賃金を減らすなどの不利益な扱いをしないよう定められています。
休んだことで評価や次の契約に影響しないか不安なときは、一人で抱え込まず、派遣会社の担当者に相談してください。
現場で取りやすいかどうかを左右すること
制度上は取得できても、「実際に休めるのか」が気になるところです。現場の実情に関わるポイントを3つに分けて見ていきます。
1. 現場の都合だけで断られるものではない
有給休暇は、原則として本人が希望した時季に取得できます。
雇用主は、事業の正常な運営を妨げる場合に限って時季を変更できますが、派遣の場合、その判断は派遣元の事業について行われます。
厚生労働省の資料でも、派遣先の事情は、直ちに時季を変更する理由にはならないとされています。派遣会社には代わりの人員の手配や業務量の調整、派遣先にはその調整への協力が求められています。
2. 工程の山場は早めの相談が現実的
とはいえ、コンクリート打設や検査、竣工前など、現場には担当者が抜けにくい時期があります。
休みの予定が決まっている場合は、工程表を見ながら早めに伝えるほうが、現場との関係も保ちやすくなります。権利として取れることと、周囲と調整しながら取ることは、両立できるものです。
連休など長めの休みを考えている場合は、なるべく早い段階で派遣会社に伝えておくと、代わりの人員の手配や業務の分担も検討しやすくなります。
3. 年5日の取得は会社の義務
2019年4月から、年10日以上の有給休暇が付与される人には、そのうち5日を1年以内に取得させることが使用者の義務になりました。
派遣の場合は派遣会社がこの義務を負うため、取得が進んでいないときは、派遣会社から時季の希望を聞かれることがあります。
契約終了や現場の移動があるときの注意点
派遣では、現場の工期に合わせて契約が終わったり、別の現場に移ったりします。そのときの有給休暇の扱いも知っておきましょう。
1. 派遣先が変わっても派遣会社が同じなら通算
有給休暇は派遣会社との雇用にもとづくものです。
派遣会社との雇用が続いていれば、現場が変わっても勤続期間や残りの日数はリセットされないのが基本です。
2. 契約と契約の間が空く場合は確認を
登録型の派遣で、契約と契約の間に空白期間がある場合、継続勤務として数えられるかどうかは勤務の実態などで判断されます。
自分の勤続期間がどう扱われるかは、派遣会社に確認しておくと安心です。
3. 雇用が終わると残りは使えなくなる
派遣会社との雇用契約が終了すると、残っていた有給休暇は基本的に使えなくなります。
契約終了が近づいたら、残りの日数をどう使うか、早めに派遣会社と相談しましょう。
引き継ぎの期間と重なることも多いため、最終日から逆算して予定を組んでおくと、現場にも迷惑をかけずに済みます。
契約前に確認したいポイント
有給休暇を気持ちよく使うために、就業前に次の点を派遣会社に聞いておくと安心です。
- 有給休暇の申請先と期限
- 現場への伝え方の分担
- 付与日(基準日)と日数
- 年5日取得の進め方
- 現場が変わるときの扱い
付与日については、入社日ごとではなく、全員の付与日をそろえる「基準日」を設けている会社もあります。自分の付与日がいつになるのかを知っておくと、休みの計画が立てやすくなります。
あわせて、派遣先の休日の暦(土曜の扱い、現場の休工日など)も確認しておきましょう。有給休暇を使う日と、もともと休みの日を整理しておくと、限られた日数を無駄なく使えます。
まとめ
派遣の施工管理でも、6か月の継続勤務と8割以上の出勤という条件を満たせば、法律どおりに有給休暇が付与されます。
付与と申請の窓口は派遣会社で、派遣先の事情だけで取得が直ちに否定されるものではありません。工程の山場を避けて早めに相談するなど、現場と調整しながら計画的に使っていきましょう。
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